普門軒の禅寺日記・京都の宿坊・お寺に泊まる

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「故郷」という映画のシーンから

「男はつらいよ」で有名の山田洋次監督が、昭和四十七年に「故郷」という作品を作っています。瀬戸内海の小さな島で、船で石の運搬をしている家族が、高度経済成長の波に押され、故郷を捨て暮らすこと決心する作品です。

その映画の印象的なシーンにこんな場面があります。仕事を辞めよることを決断した船長と、この島が気に入って住み着いた魚屋の男との会話です。

男「そうかー、それじゃーあんたは船長さんじゃなくなるんだー。船長さんじゃなくなって、労働者になっちまうんだー」
船長「船長も労働者も大して変わりゃーせんわいのー」
男「いやー違う。そりゃー大違いだ」
船長「どこがー」
男「第一給料が違う。船長の方がずっと安い。それと労働が違う。船長の方がずっとつらい」
船長「…ハハハハ……(笑)」
男「でもまあー、船長さんはやっぱ、船長さんだよね。うん」
船長「……」
男「朝から晩まで一生懸命働いて、何一つ悪いこともしないのに、どうしてかねー。どうして先祖代々住み着いたあんなきれいな村を、出て行かないといけないのかねー」
船長「食うちゃいけんけー、しょうがなーのー」
男「…そうかなー。…するとこの島もそのうち工場の敷地みたいになっちまうのかなー。いやだねー」
船長「……」


あなたは労働者ですか。それとも船長ですか。
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by fumonken | 2008-10-15 21:25 | 日課抄・歳時記 | Comments(0)