普門軒の禅寺日記・京都の宿坊・お寺に泊まる

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ね、あんたの新しいってどういうこと?

私は小津安二郎監督が大好きです。先日、『宗方姉妹』という映画を久しぶりに見ました。いつも着物姿の古風な姉と洋服姿のモダンな妹の話です。そんな『宗方姉妹』の印象的な姉妹の口げんかのシーンがあります。本当にいいんです。

「満里ちゃん、私そんなに古い? ね、あんたの新しいってどういうこと? どういうことなの?」

「お姉さん自分では古くないと思ってらっしゃるの?」

「だからあんたに聞いてんのよ」

「お姉さん、京都行ったってお庭見て歩いたりお寺回ったり」

「それが古いことなの? それがそんなにいけないこと?」

「‥‥‥」

私は古くならないことが新しいことだと思うのよ。ほんとに新しいことはいつまでたっても古くならないことだと思ってんのよ。そうじゃない? あんたの新しいってこと、去年流行った長いスカートが今年は短くなるってことじゃない? みんなが爪を赤くすれば自分も赤く染めなきゃ気がすまないってことじゃないの? 明日古くなるものでも今日だけ新しく見えさえすりゃ、あんたそれが好き? 前島さん見てご覧なさい。戦争中先に立って特攻隊に飛び込んだ人が、今じゃそんなことケロッと忘れてダンスや競輪に夢中になってるじゃないの。あれがあんたの言う新しいことなの?」

「だって世の中がそうなってるんだもの」

「それがいいことだと思ってんの?」

「だってしょうがないわよ。いいことか悪いことか、そうしなきゃ遅れちゃうんだもの。満里子、みんなに遅れたくないのよ」

「いいじゃないの遅れたって」

「厭なの。そこがお姉さんと私とは違うのよ。育った世の中が違うんだもの。私はこういうふうに育てられてきたの。悪いとは思ってないの」
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by fumonken | 2012-02-14 21:56 | 日課抄・歳時記 | Comments(0)