普門軒の禅寺日記・京都の宿坊・お寺に泊まる

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虫の音が

トラがまた夕暮れによたよたと歩き始めます。草むらの方に歩いていきます。虫の音があたりから聞こえてきます。たくさんの音色に包まれます。私が草むらに入ると音は止みますが、トラが入っていっても止みません。トラがじっとしている先には、小さな虫がいました。

トラの臨終を前にして、これまで気がつきませんでした。あのたくさんの虫の音も、命の音なんだと言うことを。あの音色の多くは、去年の音色ではありません。同じ音色に聞こえますが、同じ虫の音はありません。命が消えていくのです。でも来年また、私たちは虫の音を聞くことができます。新しい命が生まれるのです。

私は三十九歳にもなって、これまで気がつきませんでした。あの虫の音も、ひとつひとつが命の音色なんだよと、トラが教えてくれました。トラのおかげで、そのことを本当に実感することができました。明日もまた命を音色を聞くことができます。
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by fumonken | 2011-09-29 22:54 | 日課抄・歳時記 | Comments(0)