普門軒の禅寺日記・京都の宿坊・お寺に泊まる

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とてもとても有り難いもの

私の出身地、三河(愛知県東部)地方では、家から坊さんが出ると、その出家者のために衣(ころも:法衣)を仕立てます。ここまではほかの地方でもあると思います。三河地方では、その衣の生地を家の者が糸を結ぶのです。つまり糸屋から買ってきた絹や綿の糸を一つ一つ結びます。糸の長さは一〇センチのものもあれば、二〇センチのものもあればいろいろあります。それを長い糸にするわけです。それを染め屋に持って行き、糸を染めてもらいます。次に折り屋で反物にしてもらいます。そして衣に仕立ててもらいます。

私が出家をきめて実家でそのことを告げにいき、おじいちゃん、おばあちゃんにもそのことを告げました。私が僧堂に言っている間、九〇歳をこえた私のおばあちゃんは、反物を作るため、絹の糸を一つ一つ結んでくれていたんです。私が僧堂の休みの折、実家へ帰ったとき、おばあちゃんが「これは内緒だよ。あんたのために、反物の糸結んでるんだよ」と、押し入れにしまってある十五センチくらいの真っ白な絹糸の玉と、まだ結ばれていない、袋に入った絹糸を見せてくれました。その感動は筆舌しがたいです。何で内緒かというと、実はおばあちゃんが糸をむすんでいるのをしった私の母も途中から、また父も一緒に結んでいたそうです。それを三人で私には内緒にしておくことになっていたそうです。

その糸が今反物になりました。今回正月に帰郷の際に、その反物を見せてくれました。次はそれが衣と袈裟になります。その衣と袈裟を着て、この秋、晋山式を行うつもりです。私は本当に幸せです。
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by fumonken | 2009-01-19 18:50 | 日課抄・歳時記 | Comments(0)